《「モーツァルトで、おぺらくご!?」》
《「モーツァルトで、おぺらくご!?」》
興行とは本来、お客様にチケットを買っていただいてこそ成り立つものですが、ときには一般に販売をしない、いわゆる「クローズド」の催しもございます。この夏、私が携わった「Closed」の舞台を二つご紹介しましょう(^^)/
まずは奈良・西ノ京にある薬師寺での落語と講演の会。薬師寺は南都七大寺の一つ。天武天皇の発願により建てられた由緒ある法相宗大本山の寺院です。
執事長の大谷徹奘さんの案内で、金堂に安置されているご本尊の薬師如来に手を合わせます。私が「いいお顔ですね。でも、お薬師さんなのに、左手に薬壺(やっこ)を持っておられないんですね」と言うと、「そうなんです。日本へ仏教が伝来した当初は仏様の持ち物などは決められていなかったのです。それぞれの家で、ウチはお薬師さん、ウチは阿弥陀さんと伝えて行けばよかったのですが、孫・曾孫の代になると分からなくなってしまう。そこで、お薬師さんには薬壺を、阿弥陀さんには宝冠をというスタイルができたのです。それよりも前、白鳳時代の仏さまです」との答え。
ためになるなぁ!
大谷徹奘さんから台座の文様についても詳しく教えていただいた私は、いざ食堂(じきどう)での講座へと向かいます。この日は「奈良まほろば塾」の講師として招かれたのです。薬師寺とのご縁は昭和40年代に遡ります。今は亡き高田好胤和上が私の父、桂米朝の担当する関西テレビの「ハイ!土曜日です」という番組のゲストメンバーだったことから、実に親しく接していただいていたのです。そんな誼(よしみ)で今回、講師に呼んでいただいた次第。食堂に高座を組んでいただき、執事長の法話の後、落語と講話のはじまり───。
落語『鹿政談』
講話「上方落語の魅力」
熱心な聴講、ありがとうございました(^人^)
さて、もう一つは東京・上野の東京文化会館での「モーツァルトで、おぺらくご!?」と題するコンサート!
一般財団法人東京都人材支援事業団が主催する文化事業の一つで、都民の方々を対象にした「モーツァルトで、おぺらくご!?」と題する無料コンサートです。
募集定員1,800人の枠に13,000通以上もの応募があったとか。それもそのはず。音楽家のメンバーたるや豪華絢爛!
指揮:飯森範親
オーケストラ:東京交響楽団
ピアノ独奏:仲道郁代
ソプラノ (伯爵夫人役):高橋絵理
ソプラノ (スザンナ役):三宅理恵
ソプラノ (ケルビーノ役):青木エマ
こんな素晴らしい方々とご一緒できるなんて、光栄の至り☆
大林奈津子さんの司会のもと、会場は終始とても温かい空気に包まれました。大いに盛り上がった理由の一つに、建物の良さが挙げられると思います。東京文化会館が建てられたのは1961(昭和36)年のこと。なんと今年で築58年! これが実にいいんです。音響と言い、舞台の空間と言い、とても居心地が良いのです。
いつまでも上野の森の象徴であり続けて下さいね☆
以上、クローズドの催しの報告でした(^-^)/
🍀米團治🍀